【大学】俺が留年するまで。
思えばこれは、もう4.5年前の話になる。
俺が大学に入学して間もなく、「フレッシュマンキャンプ」と呼ばれる……いわゆる新入生一同で旅行に行って仲良くなろうというイベントが開催された。
この旅行で、黒髪の乙女たちと出会い、薔薇色のキャンパスライフを送ろうと考えていた俺は、手の施しようのないアホだった。
その旅行の際に知り合った男がいた。
男はぬらりひょんのような顔つきで、俺の前に現れた。
もし彼と出会わなければ、俺は清らかな心のまま留年もせず小便を漏らすこともなく、キチンと就職出来ていたに違いない。
彼はとても物知りで、面白いゲームやアニメのことを色々と教えてくれた。
俺が少々物知らずだったこともあり、彼の話は非常に話題に富んでいた。
そして俺と彼はフレッシュマンキャンプが終わった後も大学で昼飯を食らいながら談笑する仲になっていった。
ここまでは良かった。問題はここからだった。
以降、彼のことは「Y」と呼ぶ。
Y「腹痛いし授業休むわ」
Y「ゲロ眠い。サボる」
これまでの学園生活の中で、俺は「眠い」だの「なんとなく」などという理由で学校を休んだことはなく……いわば皆勤賞だった。
そんな俺にとってYの言葉は衝撃的で「大学って、そんな好きなタイミングで休んでいいの!?」と、その日から律儀に大学に通おうと意気込んでいた俺の精神を一瞬にして崩壊させた。
それからというもの俺は、Yと一緒にサボったり、Yが大学に通っている日もサボったりして遊び呆けていた。
そして、1年後の春。
俺は……留年した。
そしてYは……進級した。
紛うことなく留年してしまったが、その詳細は留年ブログを見てくれればいいので割愛する。
何故……何故だっ!
どうして俺が留年で、Yが進級しているのだっ!?
その答えは、明白だった。
俺は高校時代、皆勤賞。
それに対してYは、不登校とまでは言わずとも、休みがちだったという。
この2人の歴が留年と進級を分けてしまったのだと思う。
どういうことかというと、皆勤賞というのは悪く言えば「サボり方を知らない」ということだ。
サボり方を知らない人間が、サボり方を知っているYに合わせてサボれば、そりゃあ単位は落とす。当たり前だ。
一方、Yは力の抜き方を理解しており、サボりつつも、あと何回欠席でアウトだとか、ちゃんと数えていたのだろう。
俺のようにびゃーびゃーサボり倒していたわけではなかったのだ。
こうして、俺は1回生にして見事に留年を果たしてしまったのだ。
ちなみに、Yは1度も留年することなく卒業していき、今では1人で大学に通っている。
私の学園生活はこんなはずではなかった。
もしやり直せるなら私はしっかりと履修登録をして大学をサボらずに、黒髪の乙女と薔薇色のキャンパスライフを送ろうと思う。
……大学生活編はもう少し書きたいことがあるので、次回に続きます。