ガキだった俺は
ガキだった俺は、満員電車でたまにいる「目の前の座席が空いているのに座らない人」を見て思った。
「どうして座らないんだろう?」
ガキだった俺は「目の前の人にしか見えていない透明人間がいるのかも」と思った。
ガキだった俺は、その光景を思い浮かべながら透明人間と満員電車で会話する人の話を紙に書いた。
ガキだった俺は、構成力も文章力もさっぱりで、ぐちゃぐちゃなお話だった。
ガキだった俺は「もっと大人になって、面白く書けるようになったら書こう」と思った。
ガキだった俺は、10年以上経って大人になった。
大人になった俺は、満員電車でたまにいる「目の前の座席が空いているのに座らない人」を見て思った。
「はよ座れアホ」